副社長のイジワルな溺愛

「お前がかわいすぎるからいけない」
「えっ!?」

 俺の腕の中で、意外とでも言いたそうな彼女を今一度きつく抱きしめた。


 なんでこんなに愛しいんだろうな。
 好きでいることに理由も何もいらないなんて……知らなかった。

 それに、ずっと愛されたいと思っていたが、誰かを深く愛する幸せはより良い気がする。


「……今日の昼間、したいって言ってたけど」

 ふと思い出して問いかける。
 社の誰にも秘密のデートのような時間は、スリリングで癖になりそうだった。

 彼女が胸元で小さく頷いたのを確認して、そっと距離を取る。


「茉夏、何がしたかったの?」
「そ、それは……その……」

 口ごもる彼女の頬は、きっと色づいているのだろうと想像がつく。
 薄暗い部屋の中、俺は彼女をじっと見つめた。


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