副社長のイジワルな溺愛
爆発した独占欲とヤキモチの行き場は、ただひとつ。
社の車寄せへ強引に手を引いて、常在しているハイヤーに乗せて俺の自宅へ向かう。
突然のことに驚いている茉夏は唖然としていたけれど、次第に機嫌が悪くなったのが分かる。
「怒ってるか?」
「当然です」
「何が当然だよ、お前は何もわかってない」
俺がいなかったら、今夜は無事に帰れていないんだからな?
幸田に適当な店で飲まされて、どこかの安いホテルか自宅に連れ込まれて……考えるだけでムカムカする。
「慧さん!」
「なに?」
相当気が立っているのか、こっちを見て話してくれない彼女の横顔に問いかける。
「私だって、自由に飲みに出たいんです」
「いいよ、行ってきて。でも幸田だけは絶対にダメ」
「どうして……っ!!」
彼女は俺の瞳を見つめるなり、言葉を飲んだ。