副社長のイジワルな溺愛
一人暮らしには広すぎる彼の自宅を掃除するだけで、あっという間に時間は過ぎていく。
それから、この数日分溜まっていた彼の服を洗濯している間に、冷やし中華を作って食べ、お風呂を綺麗にしてからひと息入れつつ、夕食を食べると言われたら何を作ってあげようかと考えているだけでも、十分幸せと思えてきた。
乾燥まで済ませた洗濯物を畳み、二人分の部屋着を洗濯機へ。
ぐるぐると回転するドラムの中を、洗面室の床に座って眺めていたら、エントランスから呼出音が鳴った。
《悪い、急いでるから開けて》
「はい」
夕方十七時。
予定より早い帰宅かと思ったけど、どうやら違う様子を察する。
近くまで立ち寄ったから来たのか、それとも何か必要なものを取りに来たのか……。
程なくして、エレベーターのドアが開き、彼がやってきた。
会ったことのない女性を連れて。