副社長のイジワルな溺愛

 疑ってしまって申し訳なかったと心の中で平謝り。
 彼がサプライズで買ってきてくれた浴衣を見事に綺麗に着付けてくれたし、撫子結びの帯も可憐な雰囲気が好みだ。

 それに、仕上げてくれたヘアアレンジに合うかんざしまで……。


「村上さん、本当にありがとうございます」
「いえいえ。御門さんのお願いなら喜んで受けさせていただきますよ。それに、すごく大切な約束だって嬉しそうに話されていたのも納得できました」

 意味が分からず、鏡越しに彼女に首を傾げてみせると、小さく微笑みを返された。


「御門さんが女性のために必死になっているのを初めてお見受けしたので、何事かと思っていたんです。今夜は楽しんできてくださいね」
「ありがとうございます!」


 それからメイクもしてくれて、自分でも見違えるほど変わった姿を鏡に映していたら、彼が戻ってきた。


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