副社長のイジワルな溺愛
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帰宅してすぐに、彼は私を洗面室へ連れていき、濡れて重くなった帯を丁寧に解いてくれる。
衣擦れの音で緊張が煽られ、いつの間にかドキドキと鳴りだした鼓動が漏れ聞こえないかと、私は胸の前に両手を重ねた。
「あとは脱ぐだけだから。早く入っておいで」
「……うん、ありがとう」
帯や紐が全て解かれ、羽織だけになった私を置いて、彼は洗面室を出て行った。
少しでも、もしかしたらと思った自分が淫らで恥ずかしくなり、いそいそと脱いでシャワーを浴びた。
お湯の温かさにほっとしつつ、叶ってしまったことを思い返す。
花火大会デートに連れて行ってもらって、手を繋いで歩きながら、浴衣姿の彼も見れた。
かき氷を分け合って食べて、人混みから守ってもらえて。
浴衣姿を褒めてもらえたし、大迫力で打ち上がる花火の下で想いを伝えられた後にキスをして……。
写真を撮って思い出を残すこともできた。
完璧すぎるデートに、彼の優しさや愛情も詰め込まれていて、なんて幸せなんだろうと頬が緩む。