副社長のイジワルな溺愛
「こっちおいで」
先にソファに座った彼は、足元のフローリングにクッションを置いて私を座らせた。
洗面室から持ってきてくれていたドライヤーで、私の髪を乾かしてくれるのは嬉しいけど、この格好はやっぱり恥ずかしい。
一度は着てみたいと思っていたけど、いざ袖を通してみたら、予想を裏切られてしまった。
「花火、綺麗だったな」
「うん」
少し大きい声で話しかけてきた彼に返すと、冷風に切り替えられた風が当たって心地いい。
丁寧に乾かされた髪を撫でると、彼は私を後ろから抱えて膝に座らせ、テーブルに置いていたポラロイドを手にした。
「また来年も行こうな」
「うん。行きたい!!」
「それで、また俺のシャツ着てくれるって約束ね」
「……それはダメです」
「じゃあ、花火も行かない」
わざと膨れっ面になった彼と見つめあったら、どちらからともなく破顔してしまった。