副社長のイジワルな溺愛
【ご愛読御礼】愛するが故に -御門ver -
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金曜の仕事終わり、彼女と約束した通りの時間に社屋前へ向かう。
「副社長、お疲れさまでした」
「お疲れさま」
茉夏との関係が公になっても、社員への対応は変わらず。
つまり、俺へのイメージも同じで“冷徹”“無感情”と言われ続けている。
どう言われようと、仕事はちゃんとこなしているし、業績は右肩上がり。文句がある者がいるなら、申し出てほしいくらいだ。
「お疲れさまです」
「お疲れ。行くか」
待っていてくれた茉夏の手を引いて、十月の夜の街へと繰り出した。
「今日はどこに行くんですか?」
「麻布のほう」
「……またそういうところに」
彼女は俺と付き合い始めても慣れることができないようで、食事に出るたびに緊張している。
将来を考えたら、いずれは堂々と隣を歩いてほしいと思っているけれど、温かく見守るべきだろう。