副社長のイジワルな溺愛
「っ……また、そうやっていきなり」
「ダメ?」
「ダメとかそういうことじゃなくて」
「じゃあ、なに?」
ちょっと困らせてみたくなるのは、俺の癖。
好きな女が困った顔で、目を潤ませたり上目で見つめてくるのが、たまらなく好きだ。
――あぁ、きっと永井社長はこんなことしないんだろうけど。
あの人は完璧そうだから、女性を抱くときでさえ荒々しくなさそうだ。
帰宅したのは俺の部屋。
毎週金曜はなるべく一緒に過ごすようにしようと、俺が言い出した。
茉夏が不足して耐えられない日を少しでも減らすために、付き合わせているところもあるけれど。
「ねぇ、茉夏」
「んっ……まだ、早いですよ」
コートを脱いでハンガーに掛けた彼女の背後から襲いかかった。
下ろしている髪をかき分け、うなじにキスをして抱きしめたら、彼女の声に薄らと色っぽい甘さが混ざっていく。