副社長のイジワルな溺愛

「先日、魅力を磨くよう仰ってくださったのですが、覚えていらっしゃいますか?」
「あぁ……確かそんなこともあったな」
「私の魅力ってなんですか?」
「は?」

 間の抜けた声を出した彼は、怪訝な表情のままデスクの周りを歩き、目の前に立った。


「気づいたんです。私、自分の魅力を知らないんだって。教えていただけないでしょうか。ご存知だから、そう言ってくださったんですよね?」
「あ、いや……そうだな」

 副社長にしては歯切れの悪い返事が返ってきた。
 てっきり、「そんなの知るか」と怒られて部屋を追い出されると思ってたのに。


「とりあえず、髪でも巻いてみたらどうだ? それとメイクの勉強もして、女らしく」
「女らしく、ですか……」

 女性らしさより自分らしさを大切にしてきたけど、両方大切だとは思う。
 今の地味っぽさがなくなったら、倉沢さんも私の変化に気づいてくれるかもしれないし……。


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