副社長のイジワルな溺愛
「それに、倉沢さんもさっき聞いたみたいで、私に真偽のほどを確かめてきたくらいなんだから」
「く、倉沢さんもご存じなんですか!?」
「違うみたいだって言っておいたけど、まぁこれに関しては彼と話す機会を作ってくれたから許す」
否定してくれた彼女にお礼を伝えたものの、倉沢さんに知られてしまったのは困る。
副社長は影響の大きさを分かってるのかな?
噂なんてどうでもいいって言いそうな気もするけど……。副社長ともなると、社内の恋愛話なんて気にしていられないと思うし、そもそも彼は他人のことに興味を持ったりしなさそうだし。
香川さんに気を付けるように言われたばかりだ。せっかく塗ってきたリップグロスをティッシュで拭った。
自分を磨こうとしたのに、これじゃ逆効果だ。