副社長のイジワルな溺愛

「今日、いつもとなんか違うし……やっぱり噂は本当だったりするの?」
「違うって分かりますか!?」
「分かるよ。かわいい感じ」

 かわいいと言われて、頬が熱を持つ。
 自分の魅力を磨くためだったけど、その先にあった倉沢さんに褒めてもらえたらいいなって思ってたから……。


「副社長の彼女だから?」
「違います!! これは……」

 じっと見つめられて、視線を逸らすことすらできなくて。
 ドキドキする胸の内を隠そうとすればするほど、ちょうどいい答えが出てこない。


「ふ、副社長とはなんでもないんです」
「そっか。まぁ、出かけること自体すごいことだけど、特別な関係じゃないなら今まで通り仲よくしてね」
「はい……」

 残りの蕎麦を食べ進める彼と、海老天にかじりついてごまかす私。

 昨日までよりは、ちょっとでも変われたかな?
 倉沢さんが、私を女の子だって意識してくれるようになったかな。


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