副社長のイジワルな溺愛
「何でもいいから、ひとつのことに夢中になってる人は、性別関係なく輝いて見えるものだよ」
「そうですか? 私みたいな地味なタイプでも、ですか?」
「まぁ、いきなり二級から受けようとしてるあたり無謀さを感じるが」
無謀……確かに。受験したとして、合格したらいいけれど、不合格だったらまた勉強しなくちゃいけない。
例えば、倉沢さんからお誘いがあったとしても、場合によっては勉強のために断ることもある。完全に負のループだ。倉沢さんと上手くいったらって想像するだけ無駄な気がしてしまう。
「頑張りなさい。深里さんならきっと受かる」
「本当ですか!?」
「きっと、って言っただろう。聞こえなかったか? 励ましてやっただけだ」
「ありがとうございます……」
一喜一憂する私を見て、彼は淹れたコーヒーを啜ってテーブルに置き、じっくりと私を見つめてきた。