副社長のイジワルな溺愛
「自分磨きはするくせに、俺の仕事のサポートは断るなんて、本当に君はいい度胸をしている」
「申し訳ありません」
「分かったなら、話を受けなさい」
「それだけは……」
「受け入れるまで、今日は帰さないからそのつもりで」
冷たく言い残し、副社長はリビングを出て行ってしまった。
ここだけでもパーティーができそうな広さがある。おそらく部屋数も多いだろうし、後を追ったところで、どの部屋にいるか見当もつかなそうだ。
副社長の秘書サポートをするのが嫌なのではなくて、副社長と接点を持つのを減らしたいだけ。
私情を挟んでいることは重々わかっているけれど、職場環境を元通りにするためには、それが一番の近道だと思うのに……。
「決めたか?」
二十分ほどすると、副社長が肩にタオルをかけて戻ってきた。セットされていない濡れた髪や、さっぱりした表情が色っぽくて、つい凝視してしまった。