副社長のイジワルな溺愛

「深里さんっていうより、茉夏ちゃんって感じかな。すごくかわいいね」
「か、かわいくなんてないです! 倉沢さん、私の名前覚えててくださったんですか?」
「仲良くさせてもらってる人の名前くらい、さすがに覚えてるよ」

 倉沢さんともっと話していたいけど、通りすがった他部署の女子社員の視線が気になって、中途半端に会話を切ってしまった。


「深里さん、またね!」

 エレベーターに乗る寸前、声をかけてくれた彼にも会釈をするだけで済ませてしまった。

 これ以上、敵意のある視線を浴びたくない。
 自分のためにも女性らしくなろうとしてるだけなのに、倉沢さんへの想いまで潰されてしまいそうで、ちょっと辛くなった。


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