副社長のイジワルな溺愛
【――よかったらどうかな? 他に予定があったら無理には誘えないけど、考えてみてね】
金曜の昼。
経理業務をこなしていたら、突然倉沢さんからメールが届いた。
開封するのもドキドキする【お誘い】というタイトルを目にしてから、マウスを掴んでいる手が震えてしまっている。
来週の金曜の仕事終わりに、一緒に食事でもどうかという内容だ。
入社して以来、誰からもお誘いなんてなかったせいで、どう返事をするべきか悩んでしまう。
今の心のテンションをそのまま文字に起こしていいものか、それとも業務的な返事をするべきか……。
「深里さん、内線鳴ってるよ」
「あ、はい」
メールの文面に見惚れて、目の前で鳴っている内線にすら気づかなかった。
どうやら私は、自分で思っている以上に、倉沢さんに相当惚れこんでしまっているらしい。