深夜零時の呪い~止まらない負の連鎖~


女子高生の問いに
男の人は少しの沈黙の後


「…なんでもないよ。
見せてくれてありがとう」


そう言って携帯を女子高生に
返した。


「あ、ありがとうございます。
では、塾なんで」


女子高生がスマホを受け取り
校門から遠ざかるのを


見届けると男の人は
自分の携帯で誰かに電話を掛けた。


「…もしもし?ああ。俺だ。
………見つけたんだ。新しい“呪い”を」


男の人の表情は
深い悲しみを背負っているかのようだった。


「…あぁ。魔莉乃村の幽霊トンネル。
間違いないだろ?……わかった。じゃあな」


男の人は短い電話を終え
前を見据える。


「やっぱり終わってなかったんだな…
呪いは」


呟くと男の人はスマホの待ち受けの
画像を愛おしそうに見つめた。


映っているのは高校生の男女。
片方は男の人だろうか。


もう片方の女子は
屈託ない笑顔を浮かべてピースサインを
している。


制服姿の2人。そのネームプレートは
「安藤」と「神咲」だった。



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