『好き』を伝えたい

「でもさー、ホント何考えてんだろうね？あのクソ部長はさー」

いつものメンバー、ぷらす櫻井主任での、私の『送別会』と言う名の愚痴会が始まった。

「ホントだよ！仲村ちゃん、絶対正社員になれるはずだったのにさ。ウチの営業部長とか推薦してたのに」

「なのにあのアホ人事部長のヤロウ。自分色出したくて変なこと言い出しやがって。それで辞められちゃったら意味ないじゃん」

さっきから、クソだのアホだの散々な言われようの人事部長。
…主任も『タヌキ』って言ってたっけ。

「オレら、これから誰に資料作り頼めばいいのさ。…三島ちゃん。やってくれる？」

「私はもう担当いっぱいで無理です」

はっきりと拒否する三島さんは、本当に営業部で引っ張りだこのアシスタントさんだ。

「なんか、すみません。私のワガママで…」

申し訳なくて肩身が狭くなり謝ると

「本来なら、自分らの力で契約取れるように一から資料作成するのもオレらの仕事だぞ。アシスタントさん達ばっかり頼ってちゃ成長できないぞ」

低い声がその場を戒める。