『好き』を伝えたい
「てなわけで、櫻井くん、うちの未来、送っていってね!未来、また近いうちに会おうね!連絡するからね!」

そういって姉さんは手をふり、迎えにきていた旦那様の車に乗り込んでいった。

『櫻井くん、ウチの未来、送っていってね』?

姉さん、何をぶちかまして消えていったのですか?

気づけば、他のみなさんもいつのまにか消えてしまい、残っていたのは、私と櫻井主任だけだった。

「さて、行きますか。まだ電車ある?」

駅へと向かい歩き出す主任の後ろをおずおず追いかける。

「あっ、あのっ、櫻井主任?私一人でも全然大丈夫ですから。帰れますから」

「うん、だから帰るんでしょ?行くよー」

どうにも軽い返事がかえってきた。
主任も少し酔っているのかもしれない。

まぁ、いいか。駅まで一緒に行ってもらおう。

最後の最後、この1年のご褒美だ。


隣はさすがに歩く勇気のない私。
時々歩幅を合わせるようゆっくりした速度になる主任。

交わす言葉は少ないけれど、心がものすごく熱くなってきた。
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