見えない・・心

···淕


友人のかすみから
連絡をもらった

「かすみか、久しぶりだな。
どうした?」
「あっ、淕?
ちょっとお願いしたいことがあったの」
「ああ、お願い?」
「うん。私の姪に勉強教えて
くれないかなって。」
「教える?俺がか?」
「何言ってるの
大学教授のあなたが。」
「まあ、いいけどな。」
「本当に?助かるわ
ありがとう。週三日でどうかな?」
「三日な、まあいいか。」
「頭の良い子なんだけどね
兄のように弁護士なりたいか
私のように看護師になるか
で、悩んでいるの。」
「ほぉ、お前のようにな。
まあ、わかった。」

俺は、かすみの姪の家庭教師をすることに
なった。

その姪が荒垣 榎音だ。
榎音は、綺麗な顔をした女の子だった。
頭もよく、素直な良い子で

そんな榎音から
色んな形の告白を受けた。

まあ、子どもが年の離れた大人に
憧れてるだけだと。

まあ、それに俺は綾香を愛してるから
応えることはない。

榎音は、初めに言っていた高校より
上のランクの高校に合格して
高校に入った始めてのクリスマスイブに
「先生が、来るまでずっと待ってる」
と、言い出した。
俺はその日、
綾香とディナーの約束をしていたから、
行かない事は伝えたが·······

何故か、この日は気になり
ディナーの後、綾香を
クリスマスイルミネーションに誘った。

すると、榎音は
自分が言った場所に
一人で立っていた。

回りは、榎音の存在を気にしている
男達が、カップルでいても
榎音をチラチラ見ていた。

綾香は、イルミネーションを見て
キレイだと言っていたが
俺は、榎音が心配だった。

早く帰れの意味で
綾香の手をとり
俺のコートのポケットにいれて
榎音の前を通り過ぎた。

その時一瞬、
榎音と目があったが

その時の榎音の顔に・・・
俺はここを
通った事をひどく後悔した。

綾香は、
「とても綺麗な女の子がいたの
理人と同じ位かしら
今日は、理人もデートみたいだけど。」
と、言っていた。

俺は、家についてから
かすみにラインして
『榎音を迎えに行くように』
伝えた。
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