見えない・・心

···逃げませんよ


榎音は、なぜだか‥‥
可笑しくなってしまい

「クスクスっ、先生。
    あの頃と全然違う」
と、笑っていると
「······榎···音」
と、言いながら
先生は、すごくホッとした
顔を見せた。

「ご無沙汰しています。
当時は、沢山迷惑かけて
ごめんなさい・・この間も。」
「いや、迷惑だなんて。
榎音の身体も心も
傷つけてしまった。
俺の方こそ済まなかった。
この間も・・・」
「いいえ、私が・・」
「いや、俺だ。」
「私ですって・・」
「いや・・・ああ・・・」
二人で回りを見ると
回りの人達からジロジロ見られていた。

「榎音、ここから離れよう。」
と、先生は言いながら
私の手を取り歩き出した。

榎音は、可笑しいのと
恥ずかしいのとで·····
「・・ですねっ・・・」
二人は、急ぎ足でその場を去った。

歩きながら淕は、
「榎音、食事とかだめか?」
「いえ、大丈夫ですよ。
かすみちゃんに連絡しますね。」
と、言ってかすみちゃんに
『食事して帰ります。』
と、ラインすると
『了解、気をつけて帰りなさい。』
と、きた。

「あっ、先生
  私に任せてくれます?」

この辺りの事は、私の方がわかるから。

先生も・・
「頼む。」
と、言った。

歩き出そうとして
先生の手・・
まだ、繋がっていて
「このままは、嫌か?」

榎音は、首をふりながら・・

「だけど、
先生この間見たいに逃げませんよ。」
と、言っても先生は
手を離す事なく
榎音は、諦めて手を繋いだまま
お店に向かった。
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