見えない・・心
···辛くて苦しかった
先生の温もりが無くなると
寂しいような·····
離れたくなかった·····と
心が·····騒いでいた。
だけど、それは私だけの気持ち
先生は、私みたいな子供を
相手にするわけない。
それに、私には理人がいる。
そう、私には理人がいたんだ・・
それも、先生の息子の
と、頭の中で考えていると
先生が・・・
「あのクリスマスイブの日
妻とディナーの約束をしていたんだ。
帰りに、榎音の事が気になり
あのイルミネーションの所を通る事にした。
直ぐに榎音を見つけた。
榎音は、どこにいても目立つから
カップルでいる男も榎音を見ていた。
誰かを待っている榎音に
声をかけれずに
遠巻きから様子を見ている
やつらだらけで心配だった。
通りすぎるとき
早く帰りなさいの
意味を込めて榎音をみたんだ。
そのときの榎音の顔・・・・
今でも俺の頭の中から離れないだ。
通らなければ、良かった
と、何度も後悔した。
だから、家についてから直ぐに
かすみにラインをして
直ぐに迎えに行くように
言ったんだ。」
「先生は、何も悪くない。
私が勝手に先生への気持ちを
止めれなくて
どうしていいのかわからなくて、
前に進むしかなかっただけ。
先生に相手にされてないことも
迷惑に思われていることも
ちゃんとわかっていたのに。」
「俺みたいなおじさんに
ただ、あこがれているだけ。
若いときは年の離れた人にあこがれたり
するから。
だけど、迷惑とか思ってなかった。」
「あこがれじゃないもん。
ちゃんと、ちゃんと好きだったもん。
先生に可愛いって言ってもらいたくて
勉強も身なりも
すご~く、すご~く頑張ったもん。」
「だけど、今は俺じゃない人が
好きで、恋愛してるんだな。
あっと、遅くなったな
ごめんな、榎音、送るよ。」
と、言って淕は歩き始めた。
榎音は、下を向いたまま
じっと立ち止まっていた。
後から足音が聞こえなくて
淕が振り向くと
榎音は、元の場所に俯いたまま
立っていた。
「榎音?」
と、淕は、榎音の元まで戻る
淕の靴が視界に入ると
「だってっ・・だってっ・・・
先生は、優しい顔で、優しい声で、
あの女性に接して
私なんかと、全然違って・・・
ああ、やっぱり
相手になんかされてないって
苦しかったし辛かった。
だから、もう二度と人を
好きになんかならないって。
こんな苦しいなら
恋なんかしないって。」
泣きながら話す榎音を
淕は抱き締めながら
「ごめん、本当にごめん。
すまなかったと思っている。」
と、言った。