見えない・・心
···榎音
淕先生に嫌われないように
勉強は、必死にやり
希望高校より上のランクの高校に
合格した。
かすみちゃんも佑斗君も
とても喜んでくれた。
パパも誉めてくれた。
淕先生は、
「よく、頑張ったな。」
と、言って
大きくて可愛いテディベアを
プレゼントしてくれた。
先生は、いつも
テストの点数が良かった時
成績が上がった時は、
「榎音、良く頑張ったな。」
と、頭を撫でてくれた。
私は、それが嬉しくて
毎回頑張っていた。
高校に入ってからも
先生の誕生日、
先生に関するイベント毎に
先生に自分の気持ちを伝えていた。
だが、この年の12月23日の
家庭教師の日に
「明日のクリスマスイブの日
港Futureのイルミネーション前で
先生が来てくれるまで、
ずっと待っています。」
と、勝手にそう伝えた。
淕は、
「俺は、行くことはない。
バカな事はやめとけ。」
と、言ったが
榎音は、きかなかった。
榎音は、
明日先生が来てくれなかったら
この恋も・・・
先生へ気持ちも封印する・・・・
と、心に決めていた。
本当は・・・
来てくれないのは、わかっていた。
先生みたいな大人の男性が、
私みたいな子供を
相手にするわけないのも
よく‥‥わかっていた。
だけど、先生が好きすぎて
気持ちがあふれ出していた
クリスマスイブの日も、
朝からソワソワしていて
前夜も着ていく洋服に悩んで眠れず・・
来ないと、わかっていても
どうしたら、可愛く見えるのか?
悩みに悩んで・・
化粧や髪型も考えて・・・
17時には、
港Futureのイルミネーション前にいた。
先生に伝えたのは、
「19時 港Futureの
イルミネーションの前。」
と、伝えていた。
一時間・・
二時間・・と過ぎ
回りは、カップルだらけとなってきた
約束の時間になったが・・・
やはり、先生は来なかった。
約束から三時間が過ぎ
時計が22時過ぎたとき
先生が女の人の肩を抱いて
表れた。
先生は、
とても優さしい顔をして
とても優しい口調で
「綾香、寒くないか?」
と。
その女性は、
「うふふっ、ありがとう。
大丈夫よ。でも本当に綺麗ね。」
と。
「ああ、本当だな。」
と。
二人は手を繋ぎ
その手は、先生のポケットに
入れられて、二人は微笑みながら
去って行った。
私は‥‥‥‥‥。。。
その場に・・・・
・・座り込んでしまって・・・
‥‥‥動けなかった・・・
さらに、二時間が過ぎ
日にちが変わった時・・・
かすみちゃんが、かけつけ
私をみつけると
抱き締めてくれた。
「榎音のバカ。
こんなに冷たくなって
さあ、帰るよ。」
と、言って
私を支えながら
連れて帰ってくれた。
七時間もあの寒空の中にいた私は、
その夜39度からの熱を出して
寝込んでしまった・・・
そんな私を
かすみちゃんと佑斗君が
看病してくれた。
熱は一週間後にやっと下がったが
体調が回復したのは、
更に一週間後だった。
その間に淕先生から
何ども連絡あったみたいだが、
かすみちゃんが対応してくれた。