誰も知らない彼女
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テスト期間が終わり、学年別の成績順位が書かれた紙が貼られるときがやってきた。
今回のテストは全体的に難易度が低かったため、平均点が例年よりも高かったという噂を聞いた。
前回は学年1位が若葉で、2位が私だった。
でも今回、若葉が学年トップを連覇するというのは正直無理だと思う。
嫌がらせを受けたときから若葉は精神的に不安定になっているので、勉強には集中できなかったようだし。
だからといって成績トップを狙っているわけではないけど、若葉の連覇はないと考えていいだろう。
なんて思いながら由良たちと一緒に、成績順位が書かれた紙が毎回貼られるラウンジに集まった。
「うぅ、やばいなぁ〜。今回も順位が下かも……」
不安そうな表情を浮かべて両手を握る由良。
「だ、大丈夫だよ! 絶対上がってるって!」
そんな由良にはげましの声をかける。
前回のテスト結果を知ったときから、私は由良に勉強を教えていた。
だから由良の成績は絶対に上がっているよ。
心の中でそうつぶやく。
いっぽうの由良以外の4人はというと。