誰も知らない彼女
驚きを隠しきれなくても、なんとか思いを言葉にする。


だが、また由良が私の肩を叩いた。


「へへ、まぁね。ていうか、抹里も成績と順位上がってるよ?」


由良の言葉に目を見開いた。


私も成績と順位が上がった?


目をしばたたかせながら、再び視線を成績発表の紙に向けた。


由良の言葉に間違いはなかった。


私の成績と順位は本当に上がっていた。


テストの難易度が低いからそうだろうなとは思っていたけど、こんなに上がるとは思わなかった。


【1位 榎本抹里】


成績発表の紙の一番上に、私の名前が大きく書かれていたのだ。


私の目に狂いがなければ、私は成績トップになったということだ。


「私が……学年トップ……?」


書いてあることをそのままつぶやいたあと、そばにいた秋帆たちが駆け寄ってきた。


「すごいじゃん、抹里! 学年トップ⁉︎」


「さすがだね、抹里ちゃん。やっぱり抹里ちゃんにはかなわないよ」


「榎本さん、さっすが〜! 学年トップになるのは榎本さんだと思ってたんだよね!」


「うんうん。本当にすごいよ」
< 111 / 404 >

この作品をシェア

pagetop