誰も知らない彼女
私がごまかそうとする前に気づいてしまったとは、まさにバッドタイミング。
早く気づいた由良が悪いわけじゃないけど、そのことを人前で言わないでほしかった。
磐波さんの存在に気づいてもなにも知らないフリをしてほしかった。
だけど本当のことを言うと由良の機嫌が悪くなりかねないので黙っておく。
そんな私にまったく気がついてないのか、秋帆が店員さんに「すみませーん! 私たち、このふたりと一緒に来たのでここの席に座っていいですか」と上機嫌で話しかけている。
そのことについてはなんとも思わない。
由良と秋帆が私のところに来るのはわかっていたことなのだ。
メニュー表に視線を戻し、さっきの由良の言葉を聞いていなかったことにする。
由良が私の隣に、秋帆が由良の向かい側に座った。
秋帆が迷うことなく座った瞬間、磐波さんがバレないように距離をとった。
ふたりは気づいてないみたいだけど、彼の顔が真っ青になっていることに私は気づいた。
今考えていることがバレないように楽しそうな雰囲気にわざと入らないでいると、由良がコソッと私に耳打ちをした。
「ねぇ、抹里。抹里の向かい側に座ってる人、誰なの? 前に合コン行ったときに知り合った人?」
やはり磐波さんの存在が気になるようだ。
由良が磐波さんのことが気になるのはわからなくもない。
華やかだけど近寄りがたい雰囲気でもなく、普通に歩いていても芸能人と同じようなオーラを身にまとっている印象が強い磐波さんに目がいってしまうのはごく自然ななりゆきだと思う。
他に好きな人がいる由良とすでに彼氏がいる秋帆が、磐波さんに恋をしてもおかしくはない。
早く気づいた由良が悪いわけじゃないけど、そのことを人前で言わないでほしかった。
磐波さんの存在に気づいてもなにも知らないフリをしてほしかった。
だけど本当のことを言うと由良の機嫌が悪くなりかねないので黙っておく。
そんな私にまったく気がついてないのか、秋帆が店員さんに「すみませーん! 私たち、このふたりと一緒に来たのでここの席に座っていいですか」と上機嫌で話しかけている。
そのことについてはなんとも思わない。
由良と秋帆が私のところに来るのはわかっていたことなのだ。
メニュー表に視線を戻し、さっきの由良の言葉を聞いていなかったことにする。
由良が私の隣に、秋帆が由良の向かい側に座った。
秋帆が迷うことなく座った瞬間、磐波さんがバレないように距離をとった。
ふたりは気づいてないみたいだけど、彼の顔が真っ青になっていることに私は気づいた。
今考えていることがバレないように楽しそうな雰囲気にわざと入らないでいると、由良がコソッと私に耳打ちをした。
「ねぇ、抹里。抹里の向かい側に座ってる人、誰なの? 前に合コン行ったときに知り合った人?」
やはり磐波さんの存在が気になるようだ。
由良が磐波さんのことが気になるのはわからなくもない。
華やかだけど近寄りがたい雰囲気でもなく、普通に歩いていても芸能人と同じようなオーラを身にまとっている印象が強い磐波さんに目がいってしまうのはごく自然ななりゆきだと思う。
他に好きな人がいる由良とすでに彼氏がいる秋帆が、磐波さんに恋をしてもおかしくはない。