誰も知らない彼女

☆☆☆

それから数十分後。


私と由良はファミレスをあとにして、家までの道を歩いていた。


磐波さんは突然用事ができたという理由でなにも食べずにファミレスを出ていき、結局由良と秋帆と食べることになった。


由良と秋帆になんて話しかけたらいいのかわからなかったのか、私以外の知らない人が来て気まずくなったのか。


本当の理由はわからないけど、磐波さんのマイナスな感情があふれていたようだ。


いっぽうの秋帆はご飯を食べたあと、彼氏に呼ばれたからと逃げるようにファミレスをあとにした。


なので会計は私と由良の割り勘だったけど、由良は文句などなにも言わずにきちんと払った。


会計を終えたあとの由良の表情は、来たときに比べて明るくなったような気がする。


秋帆とファミレスに来たときは明るい雰囲気を装っていたけど、表情が少し暗かった。


私とトイレで話したことで、少しスッキリしたみたいだ。


「ん〜、なんか来たときより楽になった気がする! 聞いてくれてありがとね、抹里」


「どういたしまして。また私に相談したいことがあればいつでも言っていいからね」


伸びをしながら満面の笑みを浮かべる由良に、負けないくらいの笑顔を返す。


当然話くらいは聞かなくては。


私は由良の本当の意味で親友だから。
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