誰も知らない彼女
悲しみ
野々村さんと畠さんが行方不明になっていると知らされてから数日後。
いまだに行方不明のままの野々村さんと畠さんの情報は、あれから入ってきていない。
ときどき磐波さんとは連絡を取り合っているけど、彼もふたりの新たな情報を得ることがまったくできていなかった。
それほどふたりの捜査が難航しているのだろうか。
それに、雑木林の中にあった死体を遺棄したらしい犯人も捕まっていない。
犯人という証拠がほとんど残っていないのだろう。
そのせいで早期下校も多くなった。
学校に警察の人数人がたまに来るようにもなった。
生徒も先生たちも、警察の人が来る頻度が高くなったと気づいたときには顔を強張らせていた。
警察の人を見て顔を強張らせるのも無理はない。
自分のことでもないのに、自分がなにか法に背くような犯罪をおかしてしまったのかと勘違いしてしまうのだ。
警察の人があのことについて尋ねても先生たちはなにもしていないと潔白を証明しようとするので、事態はなかなか前には進まなかった。
もちろん、私たち生徒も潔白を証明しようと一生懸命だった。
だけど、その出来事が起きたことで、若葉への嫌がらせが一時中断していた。
嫌がらせがもっと続いてほしいわけではないけど、どうしてあの出来事を機に中断しているのだろうと疑問に思ったのだ。