誰も知らない彼女
そう質問しても、由良には聞こえていないのか答えが返ってこない。
教室に向かっている途中だというのに、両腕を広げて「雪が降ってる〜」とひとりではしゃいでいる。
ファミレスに来た日以来、由良はこんな感じになってしまった。
一緒に昼ご飯を食べていたときに私が飲んでいた水を由良の制服にこぼしても、由良はヘラヘラと笑いながら『大丈夫だよ、こんなの痛くもかゆくもないし』とハンカチを持っていた私の手を押し返した。
一緒に帰るときに小学生くらいの子供が頭を由良の体にぶつけても、由良は怒るどころかむしろ優しく撫でて『痛いの痛いの飛んでいけ〜』なんて言ってなぐさめていた。
他にも由良の奇妙な行動があったけど、私がとくに覚えていたのはこのふたつだった。
いったいなにが由良をおかしくさせたのか。
精神安定剤を無理やり飲まされ、副作用が生じてこうなったのか。
それとも、なにもかも失ってどうでもよくなったのか。
本人にそのことを聞いても、たぶん答えとなるものはひとつも返ってこないと思う。
由良がここまでおかしくなったことに、さすがの秋帆たちも目を見開いてびっくりしていた。
『なに……由良、どうしちゃったの?』
『やばいって。どこかで頭打ったんだよ』
『おかしいよ。まったく怒らない八戸さんなんて信じられないよ』
秋帆、ネネ、えるの3人は目を飛び出してしまいそうなくらいの驚きをあらわにしていた。
教室に向かっている途中だというのに、両腕を広げて「雪が降ってる〜」とひとりではしゃいでいる。
ファミレスに来た日以来、由良はこんな感じになってしまった。
一緒に昼ご飯を食べていたときに私が飲んでいた水を由良の制服にこぼしても、由良はヘラヘラと笑いながら『大丈夫だよ、こんなの痛くもかゆくもないし』とハンカチを持っていた私の手を押し返した。
一緒に帰るときに小学生くらいの子供が頭を由良の体にぶつけても、由良は怒るどころかむしろ優しく撫でて『痛いの痛いの飛んでいけ〜』なんて言ってなぐさめていた。
他にも由良の奇妙な行動があったけど、私がとくに覚えていたのはこのふたつだった。
いったいなにが由良をおかしくさせたのか。
精神安定剤を無理やり飲まされ、副作用が生じてこうなったのか。
それとも、なにもかも失ってどうでもよくなったのか。
本人にそのことを聞いても、たぶん答えとなるものはひとつも返ってこないと思う。
由良がここまでおかしくなったことに、さすがの秋帆たちも目を見開いてびっくりしていた。
『なに……由良、どうしちゃったの?』
『やばいって。どこかで頭打ったんだよ』
『おかしいよ。まったく怒らない八戸さんなんて信じられないよ』
秋帆、ネネ、えるの3人は目を飛び出してしまいそうなくらいの驚きをあらわにしていた。