誰も知らない彼女
なんて大袈裟な。
私に彼氏ができないのは当然だと思うけど。
自分は美人じゃないし、容姿に自信がないし、性格もよくないし。
ていうか秋帆、そもそも“好きな人”じゃなくて“気になってる人”だからね。
心の中でツッコミを入れる私をスルーして、クラスメイトたちは勝手に盛り上がっている。
「マジか! 優等生の榎本が恋なんてなー」
「ねー。悪い言い方するかもしれないけど、抹里ちゃんってあんまり恋愛には興味がないかと思ってたんだよねー」
「勉強オタクなのかって思ったけど、ちゃんと恋もするんだね」
「榎本さんっていつも高島さんたちに囲まれてるから恋しないタイプなのかなって勝手に思い込んじゃってた」
「それにしても不思議。榎本さんが誰とも付き合ったことがないなんて」
「だよねー。抹里ちゃんならひとりやふたりくらい付き合ってる経験がある感じなのに」
「……ていうか榎本さんって可愛いからすぐに彼氏できるはずじゃん」
「あっ、それ思ったわ!」
驚き、偏見、疑問、肯定的な受け止め。
それらがすべて混ざっているような感じだけど、あんまり悪い気はしない。
自分が噂の中心部分にいるのはあまりいい気分ではないはずなのに、心の中には気持ちのいい風がスーッと吹いている。
なんだろう、この気持ちは。
こうなったとき、いつもなら『そんなことないよ』と言っていた私。
私に彼氏ができないのは当然だと思うけど。
自分は美人じゃないし、容姿に自信がないし、性格もよくないし。
ていうか秋帆、そもそも“好きな人”じゃなくて“気になってる人”だからね。
心の中でツッコミを入れる私をスルーして、クラスメイトたちは勝手に盛り上がっている。
「マジか! 優等生の榎本が恋なんてなー」
「ねー。悪い言い方するかもしれないけど、抹里ちゃんってあんまり恋愛には興味がないかと思ってたんだよねー」
「勉強オタクなのかって思ったけど、ちゃんと恋もするんだね」
「榎本さんっていつも高島さんたちに囲まれてるから恋しないタイプなのかなって勝手に思い込んじゃってた」
「それにしても不思議。榎本さんが誰とも付き合ったことがないなんて」
「だよねー。抹里ちゃんならひとりやふたりくらい付き合ってる経験がある感じなのに」
「……ていうか榎本さんって可愛いからすぐに彼氏できるはずじゃん」
「あっ、それ思ったわ!」
驚き、偏見、疑問、肯定的な受け止め。
それらがすべて混ざっているような感じだけど、あんまり悪い気はしない。
自分が噂の中心部分にいるのはあまりいい気分ではないはずなのに、心の中には気持ちのいい風がスーッと吹いている。
なんだろう、この気持ちは。
こうなったとき、いつもなら『そんなことないよ』と言っていた私。