誰も知らない彼女
あれ?


だとすると、えるはなんでいなかったんだろう。


すぐに浮かんだ疑問を解決してくれたのは、ネネのスマホだった。


顔色を戻して、私に自分のスマホを見せるネネ。


画面に映っているのは、チャットアプリのグループチャットトークというものだった。


「私たち、グループでチャットしてるじゃない?」


「う、うん」


私は最近使ってないけど。


グループチャットのメンバーになってすぐに由良に『抹里は私のメッセージだけ聞いてればそれでいいの!』と言われて、使う機会がなかった。


だけどメンバーなので、メンバー全員のチャットの確認はしている。


「えるって、チャットあんまり使わないほうなんだけど、1限はじまる前にチャットが送られてきて」


スマホの画面をスクロールし、トーク画面を見せるネネ。


その画面をよく見てみると、えるの慌てた様子の伝わるメッセージが表示されていた。


「これ……」


「うん。このメッセージひらがなばっかりでなんて書いてあるかわからないけど、たぶんこう言いたかったんじゃない? 『私の大好きな彼氏が死んだ!』って」


嘘……。


表示されているメッセージからはそんな言葉は読み取れないけど、たしかにゆっくり目で追ってみたらそう書いてある気がしてきた。


ていうかそもそも、えるに彼氏がいたこと自体知らなかった。


驚きを隠しきれなくなる。
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