誰も知らない彼女
高校生になってからというもの、友達も別の高校に行ってしまい、お母さんも『いつまでも子供みたいなことはしない』と厳しい発言をしたためにパーティーをしなくなったのだ。


ただ、知り合いからは高校生になってもポストに私あてのクリスマスプレゼントが毎年来ている。


嬉しくないわけではないが、プレゼントがほしいとつい甘えてしまいそうになるのでちょっと複雑な気分になる。


テーブルの上の袋からそっと目をそらしかけたが、袋になにか紙のようなものが貼ってあるのに気づいて再び視線を向けた。


そこには、お母さんの字で【抹里へ】と書かれてある。


嘘……。


お母さん、出かける前に私にプレゼントを?


「えっ……でも、まだ……」


クリスマスまでにはまだ時間がある。


2週間前にプレゼントを渡すなんて、さすがに早すぎる。


当日まで2週間っていうときに、こんなわかりやすい方法でプレゼントを置くなんて、お母さんもわりと単純だね。


ふっと笑って目をそらし、さっき通り過ぎたキッチンに顔を覗かせる。


いつもは置いていない縦長の封筒が置いてある。


これはもうすぐクリスマスだからということではなく、ただ単にお母さんが置き忘れていったものなのだろう。


しかし、封筒に走り書きされた文章を見て、少し目を見開いた。
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