誰も知らない彼女

☆☆☆

あっという間に太陽が落ちて暗くなった。


最近、連続殺人事件が起きているせいか、こんな早い時間に夜が来るのが怖くなってくる。


誰もいないはずの場所に黒い人影が見えるとか、暗闇の中から誰かの声が聞こえてくるとか、ありもしない想像をしていた。


ありもしない想像のはずなのに、連続殺人事件がきっかけで恐怖体験を何度か味わった。


部屋にあるドレッサーの鏡に私じゃない人影が映り込んでいたり、保健室の床の木目が黒い人型に見えたりした。


恐怖体験を味わったときは自分の目が疲れたのかと思っていたけど、たっぷり睡眠をとっても疲れたときとそんなに大差はなかった。


いつもと同じ生活をしていても異変が起こるんだ。


「ふぅ……」


小さく息を吐き、体に入り込んだガスを抜く。


そのあと大きく伸びをしたが、伸びをした直後にポケットの中のスマホがぶるぶると震えはじめた。


いきなりのことだったので、肩をびくっと震わせてしまった。


こんなタイミングが悪いときになに?


顔をしかめつつも感情を爆発させないようにグッとこらえて我慢した。


スマホの画面を見てみると、知らないアドレスからのメッセージが表示されていた。
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