誰も知らない彼女
嘘……。知らなかった。
連続殺人事件の真犯人が幹恵だと判明したとき、奇妙な視線の正体は幹恵だと思っていたが、それは幹恵ではなく悠くんだったなんて。
しかも、由良と電話してたときに盗聴器を仕込まれてたなんて気づかなかった。
でも、視線の正体と盗聴器を仕込んだのが悠くんだと言われたら納得できる。
突き刺すようなあの視線は、家から近い距離や合コンに行くときなど、私がひとりで歩いているときにどこまでもついてきていた。
その視線を送る人物は、私の家に出入りしたことがある人間じゃないとできないことだ。
最初はその項目に当てはまる人物が由良しかいないと思っていたが、悠くんもすべての項目に当てはまる。
小さいころは私の家に遊びにきて一緒に遊んでいたし、ふたり並んで歩いたりもした。
そんな悠くんが、私の家を知らないわけがない。
そうか。
前に感じた奇妙な視線は、悠くんのものだったんだ……。
呆然とする私に、悠くんが視線をはずしてこちらに向かってきた。
「いやー、今まで隠してたこと話してよかったわ。あとはこの男にとどめを刺すだけだな」
『とどめを刺す』。
その言葉で私は、はっと我に返った。
そうだ。ここに倒れている磐波さんは悠くんに心臓を刺されたんだ。
心臓を刺されたら死ぬ可能性は高いのに、それでも無抵抗の磐波さんに攻撃したいのだろうか。
連続殺人事件の真犯人が幹恵だと判明したとき、奇妙な視線の正体は幹恵だと思っていたが、それは幹恵ではなく悠くんだったなんて。
しかも、由良と電話してたときに盗聴器を仕込まれてたなんて気づかなかった。
でも、視線の正体と盗聴器を仕込んだのが悠くんだと言われたら納得できる。
突き刺すようなあの視線は、家から近い距離や合コンに行くときなど、私がひとりで歩いているときにどこまでもついてきていた。
その視線を送る人物は、私の家に出入りしたことがある人間じゃないとできないことだ。
最初はその項目に当てはまる人物が由良しかいないと思っていたが、悠くんもすべての項目に当てはまる。
小さいころは私の家に遊びにきて一緒に遊んでいたし、ふたり並んで歩いたりもした。
そんな悠くんが、私の家を知らないわけがない。
そうか。
前に感じた奇妙な視線は、悠くんのものだったんだ……。
呆然とする私に、悠くんが視線をはずしてこちらに向かってきた。
「いやー、今まで隠してたこと話してよかったわ。あとはこの男にとどめを刺すだけだな」
『とどめを刺す』。
その言葉で私は、はっと我に返った。
そうだ。ここに倒れている磐波さんは悠くんに心臓を刺されたんだ。
心臓を刺されたら死ぬ可能性は高いのに、それでも無抵抗の磐波さんに攻撃したいのだろうか。