誰も知らない彼女
ギクッ!


やばい、作った笑顔が嘘だとバレる!


なんとか言いわけを作って、嘘だとバレないようにしないと!


「それは……私が極度の人見知りだからです。友達が何人かいても、その中に知らない人がひとりでもいると話しかけにくいっていうか……。怖くて話しかけられないんですよね」


気がつけばこんなことを言っていた。


言葉を詰まらせながらもこんなことを言ってしまった自分が恐ろしく感じられる。


人見知りではないと言ったら嘘になるけど、『極度の』というわけではない。


案の定、野々村さんは「そっかー」と純粋な笑みを浮かべた。


よかった、なんとかこの空気から逃れることができたようだ。


ただ磐波さんの表情がとてもがつくほど怖いものになっていることに気づいたと同時にその安堵感は一気に消え去った。


再びなにも言えなくなって黙り込む私など尻目に、若葉がこの空気をよくしようと明るい口調で話に割って入った。


「そ、それではいよいよ本題に入りますか」


雰囲気はお世辞にもいいとは言えない感じだけど、若葉のその言葉で向かい側に座っているふたりはとりあえずという感じでうなずいた。


畠さんがいない間、私たちはいろいろと話をして、語り合った。


だけど私は、いまだに怖い表情を見せている磐波さんから目が離せなかった。
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