誰も知らない彼女
今、なんて響いたの?


その声に私の時間が止まった。


私の耳に間違いがないなら、たしか『おかけになった電話番号は現在使われておりません』って言ったよね。


不思議に思いつつも、もう一度若葉の番号をタップして通話モードにする。


だが、何回試しても結果は同じだった。


どうして?


これって若葉の番号だよね?


なのに、この番号が使われていないって、いったいどういうこと?


さらに何回やっても同じ結果になることは目に見えている。


眉間にシワを寄せてうーん、と考えていると、隣の席の子が教科書を置いて目を見開いた。


「抹里ちゃん、そんな難しい顔してどうしたの⁉︎」


彼女が小声で言ったおかげで、ここにいる私たち以外のクラスメイト全員に聞こえることはなかった。


そのことにほっとしつつもすぐに我に返る。


「いや、あのさ……。朝丘さんの番号をかけてみたんだけど、この番号は使われてないって何回も言うんだよね……」


私が首をかしげながら考えていると、由良がこちらのほうに身を乗りだした。
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