誰も知らない彼女
ガタンッ！


「抹里、それもしかして嘘の番号じゃない⁉︎」


嘘の番号？


もしそうだとしたら、なんのために嘘の番号を作って私に教えるの？


疑問に思ったが、すぐに由良が言葉を続けたので黙って聞くことにした。


「朝丘が抹里に教えたスマホの番号はとっくに消されてて、本当は違う番号だってことよ。優しい抹里を利用して騙そうとしてるんだよ朝丘は」


最後のひとことが饒舌になっている理由はわからないが、由良が本当にそう思っていることは事実だ。


しかしその事実を理解する前に、由良の言葉に気になる単語があった。


『騙そうとしてる』。


若葉が、私を、騙す？


若葉がそんなことをしている姿など想像できなくて呆然としてしまう。


そんな私を尻目に、隣の子が由良の話に加わった。


「そうだよ、朝丘さんが簡単に自分の番号を教えるわけがないよ！ 嘘をぶっ込んで騙そうとしてるんだよ絶対！ 由良の言うとおりだよ！」


「私の親友を傷つけようとするなんて……朝丘、許せない！」


奥歯を砕かんばかりに歯をくいしばり、顔を真っ赤にさせる由良。
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