誰も知らない彼女
「か……かはっ……誰か……た……すけて……」
汚れた床をそのままに、よつんばいのまま教室から出ようとする若葉。
しかし、教室のドアの近くにいたクラスメイトのひとりが彼女の行く道をふさいだ。
「ちょっと、朝丘さん。そんな汚い姿で近づかないでくれる? くさいのが移るからさ〜」
眉間にシワを寄せて、若葉の背中に蹴りを入れるクラスメイトのひとり。
その様子を見て「ナイス!」と嬉しそうにグッドサインをする由良と秋帆に疑問を覚える。
その行動のいったいどこがナイスなのか。
若葉に嫌がらせする立場ではない私からしたら意味のわからない反応だ。
こちらに近づいてほしくないのは同じだけど。
由良と秋帆の姿を見て首をかしげたと同時に、ふと視界に若葉の嘔吐物が入ってきた。
うっ……。
なんとも言えない強烈なにおいを放つそれに目を背けたくなるが、なぜか目線を外せなくなる。
なんでなのかと心の中でつぶやく前に若葉がこちらのほうを涙目で見つめはじめた。
「え、榎本さん……」
ドキッ!
汚れた床をそのままに、よつんばいのまま教室から出ようとする若葉。
しかし、教室のドアの近くにいたクラスメイトのひとりが彼女の行く道をふさいだ。
「ちょっと、朝丘さん。そんな汚い姿で近づかないでくれる? くさいのが移るからさ〜」
眉間にシワを寄せて、若葉の背中に蹴りを入れるクラスメイトのひとり。
その様子を見て「ナイス!」と嬉しそうにグッドサインをする由良と秋帆に疑問を覚える。
その行動のいったいどこがナイスなのか。
若葉に嫌がらせする立場ではない私からしたら意味のわからない反応だ。
こちらに近づいてほしくないのは同じだけど。
由良と秋帆の姿を見て首をかしげたと同時に、ふと視界に若葉の嘔吐物が入ってきた。
うっ……。
なんとも言えない強烈なにおいを放つそれに目を背けたくなるが、なぜか目線を外せなくなる。
なんでなのかと心の中でつぶやく前に若葉がこちらのほうを涙目で見つめはじめた。
「え、榎本さん……」
ドキッ!