あなたしか見えないわけじゃない
危険な彼 3
納涼会の日がやってきた。
今年は横浜港クルージング。
何てお洒落な納涼会。
ビアガーデンでわいわい騒ぐのも楽しいけど、これぞ横浜って感じで田舎者の私はワクワクが止まらない。
皆ドレスアップして次々と乗船していく。
私は桟橋の手前で早川を待っていた。
「藤野さん」
振り返ると池田先生が手を振りながらこちらに来るところだった。
「池田先生!」
うわー、うわー、1年振り。洋兄ちゃん。
相変わらず素敵だ。
大学病院から異動になると連絡はもらっていたけど、今日会えるとは思わなかった。
「久しぶり。昨日、病棟に挨拶に行ったけど会わなかったな」
「うん、深夜勤だったから」
「そうか、今夜は夜勤明けか。飲み過ぎるなよ」
私の頭をぽんぽんとしてくれる。
「潰れたら洋兄ちゃんに連れて帰ってもらうからいいよ」
「いやいや、横浜港に置き去りだよ」
「ひどーい」
2人で笑う。
ああ、ホントに久しぶり。
洋兄ちゃん、心臓外科医の池田洋介先生は私の実の兄ではない。母の実家の隣の家のお兄ちゃんだ。
昨年帰省した時に会って以来だから1年振り。
イケメンドクターが王道の王子様なら、洋兄ちゃんは王子様というよりナイト。騎士だ。
背が高くて、細くみえて実は胸板が厚く筋肉質。
昔からチャラさは微塵もないけど、お堅いわけじゃない。
確か、そろそろ30才。まだ独身。
この超絶イケメンを射止めるのはどんな女性なんだろう。
「じゃ、また後でな」
「はい、池田先生」
洋兄ちゃんは私と別れてドクターの輪に入って行った。
その後すぐに早川が来て、私達も乗船する。
ナイトクルーズなんて初めてだ。
ビュッフェスタイルの料理を楽しんでいるとせっかくの景色を見逃しちゃう。
これはどっちをメインにしたら良いものか。
今夜は循環器内科に新しく異動してきたドクターが杉山部長係になっているらしくて珍しく私にお呼びがかからない。
洋兄ちゃんを探すと、さっきまでドクターの輪にいたのに今はナース達に囲まれていた。
さすがイケメン。
もうみんなに目を付けられちゃったのか。なんだか私の鼻が高い。私の兄ではないけれど。
「見たわよ」
いきなり後ろから抱きついて耳元で囁くのは木村さん。
「センパイ、もう酔ってますか?」
「まだよ。まだ乾杯してから30分もたってないし。そんな事より大桟橋で仲良く話していたのは池田先生でしょ。彼、赴任してまだ2日よ。ブサメン好きのアンタがどうしたのよ」
「……センパイ、酔ってもいないのに何気に失礼なこと言いますね」
苦笑いするしかない。
「池田先生は私の幼なじみなんですよ」
「え?驚いた。アンタにイケメンの知り合いがいたとは。もしかして、アンタと一緒にいた頃はブサメンだったけど、離れている間に脱皮したりしてイケメンになったとか?」
「ホントに失礼ですよっ」
全く木村さんは。私を何だと思っているんだ。
洋兄ちゃんは昔から超絶イケメンです!
「じゃ、さ、私に紹介してよ。お世話になってる先輩ですってちゃんと言ってよ」
木村さんの目がキラキラしてるよ。
「いいですけど、池田先生をもてあそぶような真似はしないで下さいね」
少しだけ疑いの目で見てしまう。
「しないわよ。既婚者なんだから」
「はぁ?!」
今年は横浜港クルージング。
何てお洒落な納涼会。
ビアガーデンでわいわい騒ぐのも楽しいけど、これぞ横浜って感じで田舎者の私はワクワクが止まらない。
皆ドレスアップして次々と乗船していく。
私は桟橋の手前で早川を待っていた。
「藤野さん」
振り返ると池田先生が手を振りながらこちらに来るところだった。
「池田先生!」
うわー、うわー、1年振り。洋兄ちゃん。
相変わらず素敵だ。
大学病院から異動になると連絡はもらっていたけど、今日会えるとは思わなかった。
「久しぶり。昨日、病棟に挨拶に行ったけど会わなかったな」
「うん、深夜勤だったから」
「そうか、今夜は夜勤明けか。飲み過ぎるなよ」
私の頭をぽんぽんとしてくれる。
「潰れたら洋兄ちゃんに連れて帰ってもらうからいいよ」
「いやいや、横浜港に置き去りだよ」
「ひどーい」
2人で笑う。
ああ、ホントに久しぶり。
洋兄ちゃん、心臓外科医の池田洋介先生は私の実の兄ではない。母の実家の隣の家のお兄ちゃんだ。
昨年帰省した時に会って以来だから1年振り。
イケメンドクターが王道の王子様なら、洋兄ちゃんは王子様というよりナイト。騎士だ。
背が高くて、細くみえて実は胸板が厚く筋肉質。
昔からチャラさは微塵もないけど、お堅いわけじゃない。
確か、そろそろ30才。まだ独身。
この超絶イケメンを射止めるのはどんな女性なんだろう。
「じゃ、また後でな」
「はい、池田先生」
洋兄ちゃんは私と別れてドクターの輪に入って行った。
その後すぐに早川が来て、私達も乗船する。
ナイトクルーズなんて初めてだ。
ビュッフェスタイルの料理を楽しんでいるとせっかくの景色を見逃しちゃう。
これはどっちをメインにしたら良いものか。
今夜は循環器内科に新しく異動してきたドクターが杉山部長係になっているらしくて珍しく私にお呼びがかからない。
洋兄ちゃんを探すと、さっきまでドクターの輪にいたのに今はナース達に囲まれていた。
さすがイケメン。
もうみんなに目を付けられちゃったのか。なんだか私の鼻が高い。私の兄ではないけれど。
「見たわよ」
いきなり後ろから抱きついて耳元で囁くのは木村さん。
「センパイ、もう酔ってますか?」
「まだよ。まだ乾杯してから30分もたってないし。そんな事より大桟橋で仲良く話していたのは池田先生でしょ。彼、赴任してまだ2日よ。ブサメン好きのアンタがどうしたのよ」
「……センパイ、酔ってもいないのに何気に失礼なこと言いますね」
苦笑いするしかない。
「池田先生は私の幼なじみなんですよ」
「え?驚いた。アンタにイケメンの知り合いがいたとは。もしかして、アンタと一緒にいた頃はブサメンだったけど、離れている間に脱皮したりしてイケメンになったとか?」
「ホントに失礼ですよっ」
全く木村さんは。私を何だと思っているんだ。
洋兄ちゃんは昔から超絶イケメンです!
「じゃ、さ、私に紹介してよ。お世話になってる先輩ですってちゃんと言ってよ」
木村さんの目がキラキラしてるよ。
「いいですけど、池田先生をもてあそぶような真似はしないで下さいね」
少しだけ疑いの目で見てしまう。
「しないわよ。既婚者なんだから」
「はぁ?!」