あなたしか見えないわけじゃない
それから2カ月後に退職し、離島へと向かった。
「洋兄ちゃん、何で一緒に行くの」
そう、過保護の兄が有給休暇を取って付いてきているのだ。
「志織の保護者だし、就職の身元保証人だよ。後藤先生に挨拶もしたいし、何の問題もない」
洋兄ちゃんは涼しい顔をしている。
何の問題もないって。
「自立できてないみたいで恥ずかしいんだけど」
と言う私の主張は無視された。
人口約2000人。
私は1年間ここでお世話になる。
この1年で自分の今後を決めようと思う。
また最先端医療現場に戻りたくなるか、このままここに残るか、実家の近くで働くという選択肢もある。
とにかく1度全てリセットする。
仕事も恋愛も全て。
赤のロードスターも売ったし、家具も捨てた。
スーツケース1つで出直しだ。
診療所のスタッフは後藤先生ご夫妻と御年70才のナースの橋本さんの3人。
診察中にも関わらず、待合室にい患者さんたちにも温かく迎えてもらった。
それにしても、洋兄ちゃんはここでも大人気の様子。
港に着くなり島のネットワークで連絡されたのか、洋兄ちゃん目当てと思われる人達が年齢問わず診療所に集まってきたのだ。
お年寄りばかりだと思っていたのに、若い人もいる。
夜には私の歓迎会を開いてくれた。
明日は島の若い人たちが歓迎会をしてくれるらしい。
洋兄ちゃんは島に2泊して横浜に戻る。
島にいる間は私の引っ越しの片付けを手伝ってくれたりあちこちに出掛けたりしている。
私がトロいんだろうけど、テキパキ動く洋兄ちゃんに惚れ惚れする。
あれ?
歓迎会は漁港の2階でって聞いたのに。
なぜか、島に1つある小学校の体育館に変わっていた。
中に入ると明らかに人数が多い。
この島の人だけじゃなくて他の島からも来ているみたい。一緒に来た洋兄ちゃんの周りには多くの女性が集まって来ていて、やっぱりどこにいてもモテるんだなと思う。
私の隣には島の役場に勤める林さんという25才の女性がずっと付き添ってくれている。
わからないことは何でも林さんに聞けばいい。
彼女は結婚していて、ご主人は漁師さんだという。
この島は漁業と農業で収入を得ている。
漁師さん達は日焼けしていてかなり筋肉質だ。農家の皆さんも機械化が進んでいるとはいえ、都会の若い人と比べるとかなり立派な体型の人が多い。
代わる代わる地酒をお酌されて、酔ってきた。
そろそろお酒をお断りしようかなと思っていると、私の前に大きなグラスが置かれた。
「ウーロン茶だよ」
「洋兄ちゃんありがと」
いつの間にか戻って来た洋兄ちゃんが私のお酒の入ったグラスとウーロン茶のグラスを交換している。
「そろそろやめた方がいい」
「うん。わかってる」
でも、もう眠くなってきた。
私の歓迎会だから、起きてなきゃ…。
目覚めたら、自分の新居の布団だった。
まだ、朝というにはかなり早い時間で、外がわずかに白みはじめたばかり。
ああ、また、やっちゃった。
洋兄ちゃん怒ってるかな。
「洋兄ちゃん、何で一緒に行くの」
そう、過保護の兄が有給休暇を取って付いてきているのだ。
「志織の保護者だし、就職の身元保証人だよ。後藤先生に挨拶もしたいし、何の問題もない」
洋兄ちゃんは涼しい顔をしている。
何の問題もないって。
「自立できてないみたいで恥ずかしいんだけど」
と言う私の主張は無視された。
人口約2000人。
私は1年間ここでお世話になる。
この1年で自分の今後を決めようと思う。
また最先端医療現場に戻りたくなるか、このままここに残るか、実家の近くで働くという選択肢もある。
とにかく1度全てリセットする。
仕事も恋愛も全て。
赤のロードスターも売ったし、家具も捨てた。
スーツケース1つで出直しだ。
診療所のスタッフは後藤先生ご夫妻と御年70才のナースの橋本さんの3人。
診察中にも関わらず、待合室にい患者さんたちにも温かく迎えてもらった。
それにしても、洋兄ちゃんはここでも大人気の様子。
港に着くなり島のネットワークで連絡されたのか、洋兄ちゃん目当てと思われる人達が年齢問わず診療所に集まってきたのだ。
お年寄りばかりだと思っていたのに、若い人もいる。
夜には私の歓迎会を開いてくれた。
明日は島の若い人たちが歓迎会をしてくれるらしい。
洋兄ちゃんは島に2泊して横浜に戻る。
島にいる間は私の引っ越しの片付けを手伝ってくれたりあちこちに出掛けたりしている。
私がトロいんだろうけど、テキパキ動く洋兄ちゃんに惚れ惚れする。
あれ?
歓迎会は漁港の2階でって聞いたのに。
なぜか、島に1つある小学校の体育館に変わっていた。
中に入ると明らかに人数が多い。
この島の人だけじゃなくて他の島からも来ているみたい。一緒に来た洋兄ちゃんの周りには多くの女性が集まって来ていて、やっぱりどこにいてもモテるんだなと思う。
私の隣には島の役場に勤める林さんという25才の女性がずっと付き添ってくれている。
わからないことは何でも林さんに聞けばいい。
彼女は結婚していて、ご主人は漁師さんだという。
この島は漁業と農業で収入を得ている。
漁師さん達は日焼けしていてかなり筋肉質だ。農家の皆さんも機械化が進んでいるとはいえ、都会の若い人と比べるとかなり立派な体型の人が多い。
代わる代わる地酒をお酌されて、酔ってきた。
そろそろお酒をお断りしようかなと思っていると、私の前に大きなグラスが置かれた。
「ウーロン茶だよ」
「洋兄ちゃんありがと」
いつの間にか戻って来た洋兄ちゃんが私のお酒の入ったグラスとウーロン茶のグラスを交換している。
「そろそろやめた方がいい」
「うん。わかってる」
でも、もう眠くなってきた。
私の歓迎会だから、起きてなきゃ…。
目覚めたら、自分の新居の布団だった。
まだ、朝というにはかなり早い時間で、外がわずかに白みはじめたばかり。
ああ、また、やっちゃった。
洋兄ちゃん怒ってるかな。