あずゆづ。

「8名様ですね。 ではこちらへどうぞ」


バイトがメガネ女たちを席へ案内する。

俺は、メガネ女と合った視線を直ぐにそらす。

一瞬しか目が合っていないのに、その時の表情がしっかり頭に焼き付いてしまった。


くそ。

くそ。


……なに、泣きそうなツラしてんだよ。


なに自分だけつらいようなツラてんだよ、くそが。



やっぱ、『そっち』に行ったんじゃねーか。

俺より、悠太のほうへ、行ったんじゃねーか、


……まあ当然か。


アイツの方が、優しくしてくれるだろうよ。



―――モヤモヤ……ッ



「……くそ…」


なんだ、なんでこんなモヤモヤしてんだ。

アイツのせいだ。


全部、全部全部あのメガネ女のせいだ。


「わ~」

「!!」


メガネ女たちの席から、一人の女が声を上げる。


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