あずゆづ。

「あ、わり……」


思わずそう言うと、「しっかりしろよな」と俺の肩に手を乗せて、注文をとりに行ってしまった。

気を取り直して、その食器を片付けに厨房の方へ向かおうとした時だった。


「ねえ君かわいいね、これってどこの制服?」

「えっ!?」

「!?」


俺は、自分の目を疑った。

一部のガラの悪そうな男子高生2人が、メガネ女に絡んでいたのだ。

……は?

てめえらなんでそんなメガネ女引っかけてんだ?


そいつのどこを見て一瞬でもかわいいと思った!?


「俺たちの席おいでよ~」


男子高生の1人が、メガネ女の腕を掴む。

アイツは小さく抵抗しているが、声を出せないで目をぎゅっと閉じているだけ。


……おい、つーか悠太の姿がねえじゃねーか。

アイツは一体、何をしてんだ?

さっきまで水、一緒に取りに行くって言ってなかったか?

どいつもこいつもふざけんじゃねーよ。

好きなら、こういうとき守れよ、バカかよ。

俺からぶんどっていった時みたいに、守ってやれよ。

……何が王子だ、馬鹿野郎……!!


ギリッと歯を食いしばっていた時。


「………」

「!!」


目が、合った。

……気がしただけかしれない。

けど、もう既に体は勝手に動いてた。

気づけばメガネ女の方に近づいていっていた。


「お客さん」


男子高生から庇うように、メガネ女を俺の背中の方へとぐっと引っ張った。


「お会計ですか?」


ぎらりと目を見開いて、懇親の笑顔を浮かべてやった。

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