あずゆづ。
「え、俺たちまだ…」
「お会計はこちらですどうぞー」
俺の笑顔を見て怯えたように震えながらも、意見してこようとするこいつらを、足で無造作に蹴る。
おら、さっさと歩きやがれと言ってやりたいのを必死におさえて、とりあえずレジの方に向かってもう一度蹴ってやった。
「ゆづく…」
「!」
背後で、俺の名前を呼ぼうとしたメガネ女の口を、手でふさいだ。
「てめえどういうつもりだ後で覚えてろ…!!!」
他のやつに聞こえたら正体バレんだろうが!
ほん……っとに、救いようのねぇバカだなてめぇは!!
「……っ」
小声でそう言ってから、メガネ女に背を向けて自分もレジの方へ行き、さっきの野郎共に無理矢理会計をさせた。
しかし頭の中は、やっぱりアイツのことでいっぱいで。
……少し、強く言いすぎたか。
そう思って、どうしても気になって、ちらりとメガネ女へ視線を移すと。
「……なに、泣いてんだよ」
メガネ女は、その場に立ち尽くして泣いていた。
そこに、さっきまでいなかった悠太が現れ、心配そうにアイツの顔をのぞき込んでいる。
―――イラッ……
てめえさっきまでどこにいやがった…!!
好きな女が野郎に絡まれてんだからなんとかしろよクソが!!
「………って…」
俺、なにしてんだよ。
何で、俺がアイツのこと助けてんだよ。
「……クソ…」
マジでバカなのはどっちだよ、まったく……。