あずゆづ。
黒のタンクトップ姿のゆづくんが、そこに立っていた。
「ゆ…」
私は立ち上がり思わず駆け出していた。
そしてやっと。
やっとその名前を呼んだ。
「ゆづくん……っ!!」
お店では隠すのに必死で、ゆづくんって呼ぶことが出来なかったから。
私はそのまま、両手を広げてゆづくんの胸に飛び込もうとしたときだった。
―――ガシッ
「!?」
私へ向かって片手を真っ直ぐ伸ばしてきたゆづくんの大きな手に、見事なまでに私の頭がガッシリとつかまれた。
「あれえ~…なんで~………」
そのまま進もうとしても、全く進めずゆづくんの元へ1歩も進むことも出来ない。
「感動の再会じゃないの~……?」
だらりと、だらしなく両手を伸ばすも。
私の腕なんて、ゆづくんの腕の長さに敵うはずもなく
私が伸ばした手は、そのままゆづくんに届くことはなかった。
「…ったく、何なんだテメエは」
「ほえ?」
ゆづくんの手が私の頭からそっと離れ、私を見下ろす。