あずゆづ。
***
「……やっと、返事まとまった?」
ゆうちゃんに手を引かれて連れてこられたのは、『あの日』と同じ人気のない校舎裏だった。
「実は、その……まとまっては、いないんですけど……」
ケリをつけろと、言われたもので。
すうーっと大きく息を吸ってから、話し始める。
「私、ゆうちゃんみたいな素敵な人に告白されて
すごくありがたいなって思った」
クラスの王子様なんて呼ばれているような人に。
顔がいいだけじゃなくて、優しくて、人としても尊敬できるような、そんな素敵な人に。
私なんかが告白されてしまっていいのかなって。
「結構、悩んだりしたんだよ」
はいと返事をすれば、お付き合いスタート。
けど断れば……。
だけど、そんな悩みはある人によって、一瞬で忘れさせられた。
「悩んだけど……でも……」
私の中にある、ただひとつの大きな存在によって。
「……ゆづ?」
「!!」
ゆうちゃんが、唐突にその人の名を呼んだ。