あずゆづ。
ドアが思いっきり開かれ、驚いた私たちは音のした方を向いた。
そこにはぐしゃぐしゃのしわだらけになった教科書を抱えたゆづくんが
なぜか鬼の形相でこちらを見ていた。
「……混ぜろ!!!」
少しほっぺを赤くしてそう言うゆづくんは
かわいい以外のなにものでもなかった。
「ほらな」
私の耳元で小声でそう呟いた岡本さんに
私はこくんと頷いて笑った。
「待ってたよゆづくん~!!」
にこにこして、手招きをすると。
「……」
口を尖らせて私たちの方に来たゆづくんは、
私と向かい合う場所に座った。
「……本当に頭いいんだろうな、メガネ」
「いや……そこまでいいわけではないけど……
もしわからないところがあったら言ってね?」
「……くたばれ」
いつもより活気のない言葉が、余計に可愛く思えて。
私の胸はきゅんきゅんと鳴って仕方がなかった。