あずゆづ。
そっとメガネを外す私。
「ほら、メガネも取ったよ? もう私メガネじゃないよ?」
こんなに近くにいるのに、いつもよりぼやけて見えるゆづくんの顔。
それでも、びっくりしてる顔だなーっていうのは、なんとなくわかった。
「………っ、」
「ゆづくん?」
んん?
やっぱり表情よくわかんないぞ?
私は床に手をついて、ゆづくんにまた少し近づく。
「………」
ゆづくんは、私の髪の毛にそっと触れて
ギリギリと歯を食いしばっているようだった。
「……あ…ずさ」
「っ」
小さく
ほんとに小さく
だけど確かに
名前を呼ばれた。