あずゆづ。

「く……黒の王子……ゆうちゃん!!」

「なにその黒の王子って…梓ちゃんはやっぱり面白いね」

「クラスのみんながそう呼んでるから!!!(嘘)」

「必死すぎ…(笑)」


ゆうちゃん……本名:山崎 悠太くん。


・優しい

・頭良い

・イケメン


の三拍子がそろっている、クラスの王子様的存在。


誰にでも気さくに話しかけてくれる本当に優しい人。


あんまり人と絡まない私ともこんなふうに話してくれる。
それに私も、みんなに混ざって“ゆうちゃん”と呼ぶことができている訳で。


ゆうちゃんは私よりも身長が少し高いくらいで、イケメンだけど可愛い顔立ちで外見的にもさわやか王子様って感じだ。


「あ、ちょうどよかった」

「へ」


ゆうちゃんはふと何かを思い出したかのように、そう言うと、そのまばゆい笑顔を私に向けてきた。


「えっ!?」


そしてあろうことか、私の手をきゅっと握ってきたのだ。


「時間ある?ちょっと遊んでいかない?」

「え、でも…!!」


手を握られたことに関して。

そして「ちょっと遊んでいかない?」という言葉に関して。

冷静に考えればゆうちゃんのもろもろの言動に対してツッコミどころは満載だが、今の私の頭の中はただひとつ。


私には、大切な任務があるのに~っ……!!


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