あずゆづ。

少しして。


「ふ、ふおおおお………」


突然足の力が抜け、変な声を出しながらへにゃへにゃとその場に座り込んでしまった私。

喫茶店の前だからって、そんなこと気にしていられるわけなかった。


だって。

……だって。


あ、あ、あ、あのクラスの王子様に……

この何の変哲もない私が……


こここ告白されてしまったのだから……!!


ねえこれ夢!?

夢!?


そう思い、自分の頬をつねろうとしたときだった。


「……あーっ、やってられっかよ!!」


―――ガコン!!


「!? い……ったぁ……!!」



ものすごい声と音が、聞こえた。

思わずつねろうと顔にのばした手が、驚きのあまりびくっと震えたことによって目に指が突き刺さる。

……痛い。


片手で目をおさえながら、何事かと音のした方を振り返る。

物音は、どうやら『うさぎの小屋』と隣の建物の間にある小さな隙間から聞こえてくるようだった。


私はそーっと立ち上がり、恐る恐るその隙間ままで近づき、音のする方をそっとを覗く。



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