あずゆづ。
「なんっで俺がこんなこと……!!」
「……!?!?!?」
さっきの、私を一瞬にして虜にしてしまったゆづくんに匹敵する筋肉の持ち主(であろう)店員さんが、大きな黒いゴミ袋をゴミ箱に荒々しく入れながらぶつくさと文句を言っていた。
……気のせいだろうか。
体格がゆづくんに似ているというだけで、なんだか声までも似ているような気がしてきたけど……。
私は、ジンジンとする目の痛みも忘れ、これでもかというくらいにカッと両目を見開いてその店員さんの行動を見つめた。
「あっ……ちィ……!! クソが!! やってられっかよ!!」
店員さんはそのまま手で、長くてサラサラの自分の金髪を荒々しくぐいっと引っ張った。
あろうことか、引っ張られたその綺麗な金髪は、ずるりとまとまって彼女の頭から滑り抜ける。
そして、重力に逆らったような白に近い銀髪が、姿を現したのだった。
「ほおおおっ!!?」
あまりの驚きで変な声をあげてしまう私。
驚きすぎて自分の口を塞ぐことも忘れていた。
「……誰だ!?」
私の声に気づいたその人は、鬼の形相で私を振り返る。
「………!!」
重力に逆らったような白に近い銀髪。
あの鬼の形相。
赤い瞳。
そして……この口の悪さ。