あずゆづ。
メイド服を着てはいるが、
私の目はごまかせない。
だって。
……だって、ずっと見てきた。
ずっと、あなたの筋肉を見てきた。
……間違いない。
「―――ゆづ……くん…………!?」
私の口から出たこれが、すべての答えだ。
「おま……な……んで……」
私の姿を見たゆづくんは、石化してしばらく動かなかった。
「あ、ああ……」
そして私は、驚きのあまり腕の力を失い、鞄がするりと地面に落ちてしまった。
バカな私。
会計を済ませて財布を仕舞った後、鞄のチャックを閉めるのをすっかり忘れてしまっていた。
―――バサバサ…ッ
そのせいで、まるで漫画のようにメイド姿のゆづくんの方に転がっていく私のスケッチブック。
今度からカバンのチャックはちゃんと閉めよう。
……じゃなくて!!!